社会人になったら避けて通れない「敬語」。
でも実は、コツを知ればそんなに難しくない!

社内とお客様対応での使い分けを、現場で役立つ例文つきで解説します。

目次
  1. そもそも敬語ってなに?
    1. 敬語は3種類ある(丁寧語・尊敬語・謙譲語)
    2. お客様と上司で敬語の種類が違う理由
    3. 敬語=「相手への思いやりの形」
  2. 敬語の基本フレーズをまずは覚えよう
    1. 「見る」「言う」「する」など日常語の言い換え一覧
    2. 「ございます」「いたします」「いただきます」の使い分け
    3. 語尾の選び方(です/ます/でございます)
  3. お客様対応でよく使う敬語(toC編)
    1. 携帯キャリア営業で使える接客フレーズ集
    2. 「ご案内いたします」と「ご説明させていただきます」の違い
    3. クレーム・質問対応での敬語
  4. NG敬語・二重敬語・間違いやすい言い方
    1. 「ご覧になられますか?」はNG?
    2. 「おっしゃられる」「伺わせていただく」の落とし穴
    3. 正しく直す!例文ビフォーアフター
  5. 社内での敬語の使い方(上司・先輩編)
    1. 上司にも「敬語」は必要。でも気を使いすぎない
    2. 「お疲れ様です」「承知しました」の正しい使い方
    3. 「かしこまりました」VS「了解しました」どっちがいい?
  6. 先輩・同期との距離感に合わせた言葉づかい
    1. 「ちょっとタメ口混ざるけど怒られない」ラインとは?
    2. 社内チャットでの言葉づかい(LINE/Slack)
    3. 信頼を損ねない“フレンドリー敬語”
  7. メール・LINEでの敬語と話し方の違い
    1. メールは丁寧すぎてOK、LINEは見やすさ重視
    2. 改行・句読点・絵文字の使い方(社内・社外)
    3. 「〜かと存じます」のようなかしこまり表現集
  8. 営業トークで信頼を得る敬語の使い方
    1. お客様に合わせた「距離の近い敬語」
    2. 「ご不明点あればお申し付けください」の言い方アレンジ
    3. 説明しながら自然に敬語を崩すコツ
  9. 電話対応で使う敬語(受け答え・取り次ぎ)
    1. 「○○でございます」は営業電話の基本
    2. 「ただいま確認いたします」など待たせるときの表現
    3. 「折り返し」や「伝言」などの伝え方
  10. 敬語が自然に使えるようになるコツ
    1. 最初は「真似」でOK!ロールモデルを見つけよう
    2. 毎日の接客から使えるフレーズをストック
    3. 「使ってみて、直されて覚える」が最強の近道
  11. まとめ|敬語は武器になる

そもそも敬語ってなに?

敬語は3種類ある(丁寧語・尊敬語・謙譲語)

まずは、敬語の「3つの種類」を知ることが大切です。

敬語の種類使い方
丁寧語文末を丁寧にする〜です、〜ます、ございます
尊敬語相手の行動を高める「おっしゃる」「ご覧になる」
謙譲語自分の行動をへりくだる「申し上げる」「拝見する」

この3つを組み合わせて、相手や場面に応じた言い方をするのがビジネス敬語の基本です。

お客様と上司で敬語の種類が違う理由

実は、同じ「目上の人」でも、お客様(社外)と上司(社内)では敬語の使い方が違います

  • お客様 → 最大限に丁寧に話す(尊敬語+丁寧語)
  • 上司 → フラットだけど丁寧に(丁寧語中心+ときどき謙譲語)

敬語を使う目的は、「相手に気持ちよく話してもらうため」。それを意識すれば、正解は1つじゃなくていいとわかります。

敬語=「相手への思いやりの形」

敬語は“かしこまった言葉”ではなく、「相手に対する心遣い」を表現する手段です。
マニュアル通りでなくても、「この人に失礼のないように話そう」という気持ちがあれば、自然な敬語になります。

敬語の基本フレーズをまずは覚えよう

「見る」「言う」「する」など日常語の言い換え一覧

よく使う動詞を、尊敬語・謙譲語・丁寧語に変換するとこうなります。

普通の言葉尊敬語謙譲語丁寧語
見るご覧になる拝見する見ます
言うおっしゃる申す/申し上げる言います
行く/来るいらっしゃる/お越しになる伺う/参る行きます
するなさるいたす/させていただくします

「ございます」「いたします」「いただきます」の使い分け

この3つはよく混同されがちですが、使い方を整理すると明確です。

  • 「ございます」…ある・いるの丁寧語
  • 「いたします」…するの謙譲語
  • 「いただきます」…もらう・受けるの謙譲語

例文:
○ こちらでお待ちいただきますようお願いいたします
× お待ちして“もらいます”(カジュアルすぎ)

語尾の選び方(です/ます/でございます)

語尾は丁寧語のポイント。
「〜です」「〜ます」で十分なシーンもあれば、「〜でございます」にするとより丁寧です。

シーン適切な語尾
お客様への説明「〜でございます」
上司への報告「〜です/ます」
同僚との会話「〜です」「〜ます」 ※少し崩してもOK

お客様対応でよく使う敬語(toC編)

携帯キャリア営業で使える接客フレーズ集

実際の店頭接客で使える定番フレーズを一覧にしました。

シーンフレーズ例
来店時「いらっしゃいませ。ご来店ありがとうございます」
案内時「こちらへご案内いたします」
契約時「こちらの内容でお間違いございませんでしょうか?」
説明時「このような流れで進めさせていただきます」

「ご案内いたします」と「ご説明させていただきます」の違い

どちらも丁寧ですが、実は微妙に使い分けがあります。

  • ご案内いたします → 場所・流れなどを示すとき
  • ご説明させていただきます → 内容や仕組みを伝えるとき

×「こちらをご案内させていただきます」
二重敬語(案内+させていただく)になってしまうので注意!

クレーム・質問対応での敬語

難しい場面でも、言い方一つで印象は大きく変わります

例文

  • 「ご不便をおかけして申し訳ございません」
  • 「今すぐ確認して、折り返しご連絡いたします」
  • 「ご指摘ありがとうございます。今後の参考にさせていただきます」

NG敬語・二重敬語・間違いやすい言い方

「ご覧になられますか?」はNG?

よく聞く「ご覧になられますか?」は、実は尊敬語+尊敬語の二重敬語で不自然です。

  • 正しくは:「ご覧になりますか?」
  • NG表現:「ご覧になられますか?」(敬語が重なりすぎ)

「おっしゃられる」「伺わせていただく」の落とし穴

どちらも丁寧に見えて、実は不自然な表現です。

NG表現正しい表現
おっしゃられるおっしゃる
伺わせていただく伺います/お伺いします

“〜させていただく”の多用は避けた方が自然に聞こえます

正しく直す!例文ビフォーアフター

NG(よくある)正しい表現
ご連絡させていただきますご連絡いたします
拝見させていただきます拝見します
ご説明させていただきますご説明いたします

※「させていただく」は許可を得て行動する時に使うのが本来の形です

社内での敬語の使い方(上司・先輩編)

上司にも「敬語」は必要。でも気を使いすぎない

社内での敬語は、「丁寧さ+自然さ」が大切です。
上司に対して過剰にへりくだると、逆に距離を感じさせてしまうことも。

自然な言い方

  • 「了解しました」→「承知しました」「かしこまりました」
  • 「○○さんが言ってました」→「○○が申しておりました」

「お疲れ様です」「承知しました」の正しい使い方

  • 「お疲れ様です」…社内の万能ワード(挨拶・メール冒頭)
  • 「承知しました」…依頼や指示に対する返事(=理解+了承)


「明日までに資料を確認してください」
→「承知しました。完了次第ご報告いたします」

「かしこまりました」VS「了解しました」どっちがいい?

「かしこまりました」は謙譲語なので、社外・お客様向けに使います。
「了解しました」は、社内向けのフラットな表現としてOKです。ただし、上司には「承知しました」が無難です。

相手適切な返答
お客様かしこまりました
上司承知しました
同僚了解です/承知しました

先輩・同期との距離感に合わせた言葉づかい

「ちょっとタメ口混ざるけど怒られない」ラインとは?

同期や歳の近い先輩には、ついフランクな言葉が出てしまうもの。でも、「少しくだけた敬語」が基本です。

×「マジでヤバいっすね」
→ △「それ、けっこう大変ですね〜」
→ ○「それ、大変そうですね。お疲れ様です!」

敬語を100%完璧にするより、「崩しすぎない丁寧さ」を保つのが社会人のバランスです。

社内チャットでの言葉づかい(LINE/Slack)

ビジネスチャットでは「テンポ感」も大切ですが、敬語のルールは守ると信頼につながります。

チャットでの例書き方のポイント
「了解です!」OK(同僚にはフラットで◎)
「よろしくです!」NG(カジュアルすぎ)→「よろしくお願いいたします」
「お疲れさまです!」OK(最初の挨拶に)
絵文字 😊✨社内ならOK。社外や上司には使わないのが無難

信頼を損ねない“フレンドリー敬語”

  • 語尾を丁寧に(です/ます)
  • 相手の話を否定しない
  • 「ありがとうございます」「助かります」など感謝を忘れない

社内の関係性ができたら、丁寧語7割・フラット3割くらいでもOK。

メール・LINEでの敬語と話し方の違い

メールは丁寧すぎてOK、LINEは見やすさ重視

メールでは、「かしこまった言葉+丁寧な構成」が基本です。
一方でLINEはスピード重視。改行や短文で視認性を意識しましょう。

メールの例

〇〇様

お世話になっております。

△△株式会社の□□です。

資料をお送りいたしますので、

ご査収のほどよろしくお願いいたします。

よろしくお願い申し上げます。

LINEの例

〇〇さん、お疲れ様です!

先ほどの件、資料を添付しました!

ご確認よろしくお願いします✨

改行・句読点・絵文字の使い方(社内・社外)

項目社内LINE社外メール
改行1文ごとに入れてOKパラグラフで区切る
絵文字同期・先輩ならOK 😊基本NG
句読点多用しすぎない丁寧に打つと読みやすい

「〜かと存じます」のようなかしこまり表現集

以下のような言い回しをストックしておくと、文章の丁寧度が上がります

  • ご確認いただけますと幸いです
  • ○○かと存じます
  • 恐れ入りますが〜
  • お手数ですが〜
  • 引き続き、よろしくお願い申し上げます

営業トークで信頼を得る敬語の使い方

お客様に合わせた「距離の近い敬語」

toC営業では、信頼感+親しみやすさのバランスが大事。堅すぎる敬語は距離を感じさせるので、丁寧語+自然なトーンを意識しましょう。

「こちら、◯◯でございます」より
「こちら、◯◯になりますね」の方が柔らかい印象◎

「ご不明点あればお申し付けください」の言い方アレンジ

  • 「ご不明点ございましたら、お申し付けくださいませ」
  • 「何かご不明な点があれば、遠慮なくお声がけくださいね」
  • 「何か気になるところ、ありますか?」(やさしい言い回し)

相手が話しやすくなる敬語が◎。

説明しながら自然に敬語を崩すコツ

  1. 初回の説明はしっかり敬語で
  2. 相手の反応を見て、徐々に話し方をなじませる
  3. でも、語尾は「〜ですね」「〜になります」など丁寧さはキープ

🙅‍♂️「これ、ヤバいっすよね」
🙆‍♀️「これ、意外と知られてないですよね〜」

電話対応で使う敬語(受け答え・取り次ぎ)

「○○でございます」は営業電話の基本

電話では“声”がすべて。
会社名・名前・声のトーンで印象が決まります。

基本の出だし
「お電話ありがとうございます。○○株式会社の△△でございます」

小さな声や早口はNG。1.2倍ゆっくり&ハキハキと!

「ただいま確認いたします」など待たせるときの表現

  • 「少々お待ちくださいませ」
  • 「確認いたしますので、30秒ほどお時間いただけますでしょうか」
  • 「○○に確認のうえ、すぐに折り返しいたします」

不安にさせない伝え方がカギ!

「折り返し」や「伝言」などの伝え方

  • 「ただいま不在にしておりまして…」
  • 「○○より折り返しご連絡差し上げます」
  • 「ご伝言を承りましょうか?」

取次時の敬語は慣れが大切。先輩の電話をメモしながら聞くのも◎

敬語が自然に使えるようになるコツ

最初は「真似」でOK!ロールモデルを見つけよう

社内にいる敬語の上手い先輩を真似するのがいちばん早い!
イントネーションや表現をメモして、自分の語彙に変換していきましょう。

毎日の接客から使えるフレーズをストック

現場で毎日使うフレーズを、スマホのメモに保存しておくのがおすすめ。

例:「ご案内いたします」「少々お待ちくださいませ」
→ こうした口グセ敬語を10個覚えるだけでも自信がつきます。

「使ってみて、直されて覚える」が最強の近道

敬語は“机の上で覚えるもの”ではなく、話して覚えるもの
失敗してもOK!むしろ、注意されることで言葉が定着します。

「あ、これ前も言っちゃったな」→ 次から言い換えられるようになる!

まとめ|敬語は武器になる

敬語を知ること=相手に合わせて話す力を持つこと。
とくに接客や営業では、言葉一つで印象も売上も変わります

完璧じゃなくても大丈夫。
今日から少しずつ、「感じがいい」敬語、始めてみましょう!