「何を、どのタイミングで、どう伝えるべきか分からない」
──そんな不安を抱える新人の方に向けて、報連相の基本から、伝え方のコツ、実践しやすい習慣までを解説します。
うまく伝えられるようになることで、怒られることが減り、信頼が自然と積み上がっていきます。

目次
  1. 報連相とは?まずは基本を押さえよう
    1. 報告・連絡・相談のちがい
    2. 上司や先輩が求めているのは結果だけじゃない
    3. ひとりで抱え込むより、共有する姿勢が信頼に変わる
  2. なぜ報連相が大事なのか
    1. 周囲から頼られる人ほど、こまめに伝えている
    2. 過程や気づきも「報告対象」になる
    3. 見えていない仕事は、評価されにくい
  3. 報告は「完了してから」では遅いこともある
    1. 途中経過でも状況を伝えるのがポイント
    2. 最初に結論を、その後に理由や経緯を
    3. チャットで伝えるときは箇条書きでも十分
  4. 連絡は「気づかいの見える化」になる
    1. 報告との違いは、目的にある
    2. ひとことを添えるだけで印象は大きく変わる
    3. 必要な人に、必要なタイミングで届ける意識を持とう
  5. 相談は「頼ること」ではなく「仕事を進めるための選択肢」
    1. すみません、ではなく「ご相談させてください」と伝える
    2. 質問の前に、まずは自分なりの考えを持っておく
    3. たった5秒でもいい、声をかけるタイミングを逃さない
  6. うまくいく人は、報連相のタイミングが絶妙
    1. 早すぎても、遅すぎても、相手の判断を鈍らせる
    2. 「今のうちに共有しておきます」が便利な一言
    3. 伝える手段とタイミングの相性を考える(口頭/チャット/日報)
  7. 「伝わらない人」に共通するパターン
    1. 順番が逆(いきなり理由から入ってしまう)
    2. 情報が足りない(数字・主語・期限が抜けている)
    3. 「で、何をしてほしいのか」がわからない
  8. 言いにくいことを伝えるコツ
    1. 失敗の報告こそ、早さと誠意が大切
    2. 伝える順序は「謝罪→現状→対処案」
    3. 「怒られたくない」と思う時こそ、すぐ相談しよう
  9. 現場で使える報連相の言い回し例
    1. 報告:「〜まで進みました」「次は〜に着手します」
    2. 連絡:「ただいま外出中です」「◯時に戻ります」
    3. 相談:「A案とB案がありますが、どちらが適切でしょうか?」
  10. 報連相が自然にできる人になるための習慣
    1. 1日1回だけでも「今の状況」を言語化してみる
    2. 相手に合わせて、伝え方の温度感を変えていく
    3. 思いついたことを“すぐ共有”できるようメモを活用する
  11. まとめ|報連相は「信頼をつくる技術」です

報連相とは?まずは基本を押さえよう

報告・連絡・相談のちがい

「報連相」とは、「報告・連絡・相談」の頭文字を取った言葉です。
それぞれ意味と目的が少しずつ異なります。

区分内容主な目的
報告上司への業務進捗や結果の共有現状を把握してもらうため
連絡必要な情報の共有・伝達チーム内での情報をそろえるため
相談判断に迷った時の確認・意見を求める行為誤判断を避け、より良い結果を得るため

3つの違いを理解していないと、「これは相談?報告?」と混乱することがあります。まずは目的から整理するのがおすすめです。

上司や先輩が求めているのは結果だけじゃない

新人のうちは「成果が出てから言おう」と考えてしまいがちですが、上司や先輩が知りたいのは、途中経過や気づき、悩みも含まれます

たとえば「お客様対応で少し不安なことがありました」といった段階の共有も、立派な報連相です。

完了してから伝えるのではなく、「今どこまで進んでいるか」「どんなことに迷っているか」を共有するほうが、上司にとっても助かる情報になります。

ひとりで抱え込むより、共有する姿勢が信頼に変わる

社会人として「自分で考えて動く」ことはもちろん大切です。
しかし、すべてをひとりで抱え込むのは、かえって仕事の遅れやミスにつながることがあります。

小さなことでも共有しておくことで、「この人はきちんと見通しを持って行動しているな」と信頼されやすくなります。

なぜ報連相が大事なのか

周囲から頼られる人ほど、こまめに伝えている

「頼りがいのある人」とは、知識やスキルがあるだけでなく、まわりとの情報共有を丁寧にできる人でもあります。

日々の会話の中で、
「この件、昨日こんな動きがありました」
「先方から◯◯の確認がありました」
といった、ほんのひと言を積み重ねるだけで、社内での信頼感は着実に高まります

過程や気づきも「報告対象」になる

報告は「結果だけ」を伝えるものではありません。
むしろ、プロセスや気づきの共有こそ重要な報連相の一部です。

たとえば営業中に「このお客様、料金よりサポート体制を重視しているな」と思った場合、それを報告することで、チーム全体が対応のヒントを得られます。

見えていない仕事は、評価されにくい

あなたがどれだけ丁寧に仕事をしていても、伝わっていなければ「やってない」と思われてしまうことがあります。

報連相は、自分の仕事を正しく評価してもらうためにも必要な行動です。
自信がないときほど、「ここまで進めました」と、少しだけでも報告してみましょう。

報告は「完了してから」では遅いこともある

途中経過でも状況を伝えるのがポイント

「終わったら報告しよう」と思っていたら、タイミングを逃してしまった──そんな経験はありませんか?

業務によっては、途中での報告がベストなタイミングになることもあります。

たとえば、

  • 「明日中に完了予定です」
  • 「A案で進めておりますが、B案も再確認しています」

といった進行中の情報も、立派な報告内容です。

最初に結論を、その後に理由や経緯を

報告をするときは、「〜だと思います」よりも「〜です」と結論から伝えることで、聞く側が理解しやすくなります。


「今週の営業目標、5件中3件達成できました。残り2件は明日以降に動きます」

このように、結論+要点を先に出すことで、必要な確認やアドバイスももらいやすくなります。

チャットで伝えるときは箇条書きでも十分

口頭での報告が難しいときは、LINEやSlackなどのチャットを活用してもOKです。

ただし、長文になりすぎないように注意しましょう。
箇条書きで「結論→理由→補足」など、要点をまとめておくと、相手も読みやすくなります。

連絡は「気づかいの見える化」になる

報告との違いは、目的にある

報告は「進捗や結果の共有」ですが、連絡は「情報の共有・確認」が主な目的です。
たとえば、こんなやりとりが連絡に該当します。

  • 「本日◯◯様がご来店予定です」
  • 「15時から社外訪問に出ます。戻りは17時頃です」

このように、「周囲が気づかないと困ること」を伝えることが連絡の役割です。

ひとことを添えるだけで印象は大きく変わる

たとえば、退勤時に

  • 「お先に失礼します」だけでなく
  • 「本日◯◯の案件まで完了しました。明日は朝イチで△△対応します」

一言添えるだけで、ぐっと丁寧な印象になります。

チャットの場合も「了解です!」だけでなく、「◯◯の件、了解いたしました。明日朝に確認いたします」など、相手が状況を把握しやすくなる表現を心がけましょう。

必要な人に、必要なタイミングで届ける意識を持とう

連絡は、「全体に送ればいい」というものではありません。

  • 誰が
  • どのタイミングで
  • どんな情報を求めているか

を考えて連絡できるようになると、気が利く人と評価されやすくなります。

相談は「頼ること」ではなく「仕事を進めるための選択肢」

すみません、ではなく「ご相談させてください」と伝える

相談をすることに対して「迷惑かもしれない」と感じる方も多いですが、相談はマイナスではなく、前向きな行動です。

謝るよりも、「ご相談させてください」と声をかけるほうが、信頼されやすくなります。

質問の前に、まずは自分なりの考えを持っておく

何も調べずに「どうしたらいいですか?」と聞くよりも、
「A案とB案で迷っています。私としてはA案が適切だと思っていますが、いかがでしょうか?」
と伝えるほうが、主体性を持って相談していると受け取られます。

たった5秒でもいい、声をかけるタイミングを逃さない

「話しかけるのが申し訳ない」「タイミングが分からない」と感じたら、
まずは「今、お時間よろしいでしょうか?」と短く声をかけるだけでも十分です。

上司や先輩の手が空いたタイミングで、自然に相談できるようになります。

うまくいく人は、報連相のタイミングが絶妙

早すぎても、遅すぎても、相手の判断を鈍らせる

報告や相談のタイミングを間違えると、かえって混乱や指示ミスを引き起こしてしまいます。

たとえば、
「10時に伝えておけばスムーズに動けたのに、15時に言われたから対応が遅れた」
というケースはよくあります。

一方で、早すぎる段階で未確定の情報を伝えても、「結局どうなったの?」と手間を増やしてしまうこともあります。

“ちょうどいいタイミング”を見極めるには、相手の動きや全体の流れを見る力が必要です。

「今のうちに共有しておきます」が便利な一言

相談や報告を入れるとき、「今のうちにお伝えしておきます」という言葉は非常に便利です。

この一言があるだけで、

  • 「急がせてる感じがしない」
  • 「先回りして動けている」
    という印象を持たれやすくなります。

例「お客様から明日ご来店予定とのご連絡がありました。今のうちに共有しておきます。」

こうした声かけが、上司やチームからの信頼に繋がります。

伝える手段とタイミングの相性を考える(口頭/チャット/日報)

情報の内容や緊急度によって、伝え方を使い分ける意識を持つと報連相の質が一段上がります。

内容手段備考
今すぐ共有したい口頭/電話即対応してほしい場合に最適
明日以降の予定チャット文章に残しておくと便利
その日の業務全体日報全体の整理・報告に向いている

「伝わらない人」に共通するパターン

順番が逆(いきなり理由から入ってしまう)

話し出しが「なんかちょっと思ったんですけど…」のように理由や背景から入ると、結局何が言いたいのか分からなくなってしまいます。

報連相では「結論ファースト」が基本です。


×「昨日◯◯の件で少し行き違いがあって、確認しようか迷ったんですけど…」
○「◯◯について確認が必要です。その理由が…」

情報が足りない(数字・主語・期限が抜けている)

「納品の件、大丈夫そうです」という報告だけでは、何が、いつまでに、どういう状態なのかが不明確です。

以下の3点が抜けると、“伝えたつもり”でも相手には伝わっていないことが多くなります。

  • 主語(誰が/何が)
  • 期限(いつまでに)
  • 数字(進捗量/件数など)

「で、何をしてほしいのか」がわからない

報連相のゴールは、“聞いた相手が動きやすくなること”です。

話し終わったあとに「で、これはどうすればいい?」と聞かれてしまうのは、まだ改善の余地ありです。

  • 「ご確認いただきたい」
  • 「ご判断を仰ぎたい」
  • 「アドバイスをいただけると助かります」

など、目的を明確に添えて締めくくりましょう。

言いにくいことを伝えるコツ

失敗の報告こそ、早さと誠意が大切

ミスやトラブルが起きたときこそ、できるだけ早く、かつ丁寧に伝えることが信頼に繋がります。

「ご迷惑をおかけしてしまい、申し訳ございません。現在の状況と対応についてご報告いたします。」

最初に謝意を伝えることで、相手の受け取り方も柔らかくなります。

伝える順序は「謝罪→現状→対処案」

報告の型としておすすめなのが以下の順番です。

  1. 謝罪(先に気持ちを伝える)
  2. 状況(いつ、何が起きたか)
  3. 対応策(すでに行動している内容)

この順番を守ることで、ただ謝るだけでなく、「すでに動いている」「解決に向けて前向きである」という印象を与えることができます。

「怒られたくない」と思う時こそ、すぐ相談しよう

相談をためらう理由の多くは、「怒られたらどうしよう」という不安です。
しかし実際は、早く相談した方が怒られにくいという事実があります。

遅くなればなるほど、

  • 被害が広がってしまった
  • 手遅れで対応できなくなった
    という事態に発展しやすくなります。

現場で使える報連相の言い回し例

報告:「〜まで進みました」「次は〜に着手します」

  • 「本日◯件中、2件まで対応完了いたしました」
  • 「明日はA社の案件に着手いたします」

進捗や予定が伝わる報告は、非常にありがたい存在になります。

連絡:「ただいま外出中です」「◯時に戻ります」

  • 「今、オフィスに向かっております。到着予定は15:30です」
  • 「お昼休憩に入ります。13時には戻ります」

連絡は、事務的すぎない“ひとこと”を添えると、感じのよさがアップします。

相談:「A案とB案がありますが、どちらが適切でしょうか?」

  • 「A社とB社の対応について、ご相談させていただけますでしょうか」
  • 「A案とB案で迷っています。私はA案が良いと考えていますが、ご意見をいただけますと助かります」

相談は、「自分で考えた上で、選んでもらう」形にすると、信頼度が高まります。

🔍用語

項目説明
オープンクエスチョン相手の自由な意見や考えを引き出す質問「どうすればよいと思いますか?」「今回の件、どう感じましたか?」
クローズドクエスチョン選択肢やYes/Noなど、限定された答えを求める質問「AとB、どちらにしますか?」「やりますか?やりませんか?」

報連相が自然にできる人になるための習慣

1日1回だけでも「今の状況」を言語化してみる

毎日完璧に報連相をするのは難しく感じるかもしれませんが、
1日1回、「今日やったこと」「困っていること」を言葉にしてみるだけでも変わってきます。

文章にしておくと、報告のタイミングでそのまま伝えることも可能です。

相手に合わせて、伝え方の温度感を変えていく

上司やチームメンバーの中でも、

  • 口頭でさっと聞きたいタイプ
  • 文章で整理されていた方が嬉しいタイプ
    など、伝えやすいスタイルは人によって違います。

「この人はチャットで簡潔に送ると喜ぶな」
「この人は口頭で一言添えた方が良さそうだな」
といった観察力も、報連相を自然にするコツです。

思いついたことを“すぐ共有”できるようメモを活用する

「これ、あとで報告しよう」と思っても、いざ時間ができたときには忘れている──よくあることです。

その場でチャットに入れる、またはメモ帳に簡単に残す習慣をつけておくと、報連相の「スムーズさ」と「抜け漏れ防止」につながります。

まとめ|報連相は「信頼をつくる技術」です

報連相は、「やらなきゃ怒られるから」するものではありません。
むしろ、「信頼されたいから」「安心してもらいたいから」こそ、先に動くべき行動です。

  • 結果だけでなく、途中経過や迷いも伝える
  • 自分なりの考えを持って相談する
  • 伝えるタイミングや手段を工夫する

これらを少しずつ意識することで、あなたの印象は確実に良くなります
今日から、ひとつだけでも実践してみてくださいね。