社会に出ると、「話す」「聞く」「伝える」など、すべてが仕事の成果に直結します。
しかし、学生時代のような「気心知れた会話」と、ビジネスシーンのコミュニケーションには大きな違いがあります。
本記事では、社会人としての第一歩を踏み出した方に向けて、信頼されるコミュニケーションの基本をわかりやすく解説していきます。
そもそも「ビジネスコミュニケーション」とは?
学生の会話との違いってなに?
学生時代のコミュニケーションは、「仲良し」「面白い」が基準になっていた方も多いのではないでしょうか。しかし、ビジネスの世界では、「誤解がない」「業務が円滑に進む」ことが最も重視されます。
たとえば、「多分いけます」「あとでやります」など曖昧な言葉は、社会人としてはNGです。
「〇月〇日までに対応します」など、責任ある言葉を使うことが信頼につながります。
なぜ“伝え方”が評価につながるのか?
職場では「正しく伝える」「丁寧に伝える」ことが、結果以上に評価されるケースもあります。
理由は簡単で、伝え方が悪ければ、いくら良いアイデアでも“信頼”を失ってしまうからです。
特に新人のうちは、「言葉遣い」「タイミング」「表情」の3点を意識するだけで、印象が大きく変わります。
「聞き上手」こそ社会人の必須スキル
話すことに自信がない方もご安心ください。
実は、信頼される人の多くは「聞くのが上手」です。
「相手の目を見て、うなずく」「最後まで聞いてから質問する」「メモをとる」
これらを意識するだけで、「話しやすい」「理解力がある人だな」と感じてもらえます。
「話す力」よりも「伝える力」
「えーと」「たぶん」はNGワード?
「えーっと…」「まあ…多分」などの言葉は、聞き手にとっては自信がない・責任感がない印象を与えてしまいます。
社内では特に、曖昧な言葉を避け、「明確な意思表示」を心がけましょう。
例
×「多分、大丈夫です」
〇「現在の進捗では問題ありません。明日までに仕上がります」
結論から話すだけで伝わりやすくなる
ビジネスでは「結論ファースト」が基本です。
相手は限られた時間で内容を判断する必要があるため、まず答えを伝え、その後に理由や背景を補足するのが鉄則です。
たとえば上司に報告する際は、
「〇〇の件、完了しました。〇〇に注意して進めました。」
のように、シンプルにまとめましょう。
報告・連絡・相談は“簡潔・正確”が命
いわゆる「報連相(ホウレンソウ)」は、新人にとって最重要のスキルです。
以下のようなポイントを押さえましょう。
報告:ミスも含め、正直に伝える
連絡:進捗や変更点を早めに伝える
相談:主観ではなく、事実ベースで共有する
「隠さない」「遅らせない」「ごまかさない」ことが、信頼につながります。
「聞く力」が信頼を生む理由
話を遮らない、うなずき・相槌のコツ
相手の話をさえぎったり、途中で自分の話に変えたりすると、「話を聞いてない人」と思われてしまいます。
ポイントは3つです。
- 最後まで話を聞く
- 相手の目を見る
- 「なるほど」「たしかにですね」と相槌を打つ
メモを取る=“本気で聞いてます”のサイン
話の最中にペンを動かしているだけで、「ちゃんと聞いている」という印象が生まれます。
特に上司やクライアントとの会話では、重要なキーワードをメモするだけでも好印象です。
メモを取る習慣は、内容の理解・記憶の定着・復習のしやすさにもつながります。
わからないことは「聞き返す」が正解
新人時代は、知らない言葉や業務内容に出会うことが多くあります。
その際、「なんとなくスルーする」のは一番危険です。
「恐れ入ります、こちらはどういう意味でしょうか?」と、勇気を出して聞くことが大切です。
“素直に聞ける人”は成長が早いといわれます。
雑談・アイスブレイクも大事な力
「何を話すか」より「どう聞くか」
職場での雑談は、「仲良くなるため」だけでなく、業務をスムーズにするための潤滑油です。
ただし、話題の内容よりも、相手の話にどんなリアクションをするかの方が重要です。
例えば、「へぇ〜、すごいですね!」といった共感の相槌や、「私も◯◯行ったことあります」と話題を広げる姿勢が、自然な会話につながります。
相手の話題に乗ると自然に会話が続く
コミュニケーションが得意でない方でも、相手の興味に合わせるだけで会話は自然に続きます。
以下は話題が広がりやすい例です!
- 昨日観たテレビ・ニュースの話
- 最近食べたおいしいランチの話
- 天気や季節の話(例:「今日すごく暑いですね」)
ポイントは「自分から話題をふらなくていい」ということ。
相手の言葉に乗るだけで、十分なコミュニケーションになります。
雑談は“距離を縮める潤滑油”
アイスブレイクの力は侮れません。
たとえば、同じ業務でも「この人とは話しやすい」と思ってもらえるだけで、報連相のハードルが下がり、チーム全体の空気もよくなります。
雑談力は“スモールトーク”とも呼ばれ、外資系企業では必須スキルとして研修されることもあります。
言いにくいことの伝え方
「すみません」より「ありがとうございます」
つい使ってしまいがちな「すみません」ですが、実はビジネスシーンでは「ありがとうございます」に言い換えた方が印象が良いケースが多くあります。

ちょっとした言葉選びの違いで、ぐっと“感じの良さ”が出てきます。
「でも」「だって」を避けた表現法
言い訳に聞こえるワードには注意が必要です。
とくに「でも」「だって」は、反論や自己弁護の印象を与えてしまいがち。
【NG例】
「でも、私のせいじゃないです」
→ 主張は伝わっても、責任転嫁の印象に…
【OK例】
「ご指摘ありがとうございます。次回はこの点に注意いたします」
ポイントは、一度受け止める→改善案を出すという順序です。
「断る」「お願いする」も丁寧に伝える
新人のうちは「NOと言ってはいけない」と思いがちですが、断り方やお願いの仕方を工夫すれば問題ありません。
たとえば、
- ❌「無理です」→⭕「恐れ入りますが、現在のスケジュールでは難しい状況です」
- ❌「やってもらえます?」→⭕「大変恐縮ですが、お手すきの際にお願いできますでしょうか?」
言葉を選ぶことで、角を立てずに伝えることができます。
社内でのコミュニケーションの基本
先輩・上司との距離感の取り方
職場では「フレンドリー=失礼にならない」わけではありません。
信頼関係を築くためには、“ちょうどよい距離感”を保つことが大切です。
- 自分から過度に馴れ馴れしくしない
- 呼び方は「〇〇さん」「〇〇課長」など役職付きで
- 相談時は、「今、お時間よろしいでしょうか?」と一言添える
ビジネスでは、“遠慮”ではなく“配慮”が重要です。
「相談しやすい人」になるには?
新人であっても、後輩が入ってくれば“相談される立場”になります。
その時に大切なのが、「話しやすさ」の印象づけです。
🔷 コミュニケーションが取りやすい人の特徴
- 話しかけられたときに笑顔
- 自分の手を止めて相手の目を見る
- 「うんうん」とうなずきながら聞く
ちょっとした“表情と姿勢”が、周囲との関係性をつくります。
チャット・LINEの文面の注意点
社内でのやりとりがSlackやLINEの場合も、「カジュアル=雑でOK」ではありません。
伝えるべき内容は簡潔に、かつ礼儀を忘れずにまとめましょう。
【例:資料の送付依頼】
×「これ見といて〜」
〇「お疲れ様です。こちら、明日の会議用資料となります。ご確認よろしくお願いいたします」
社外でのやりとりで気をつけたいこと
「敬語の使い方」が信用に直結する
社外の人に対する言葉遣いは、“会社全体の印象”に直結します。
タメ口や略語はNGです。基本の敬語を使いましょう。
すでにご覧いただいた表のように、何気ない一言が信頼を左右します。
ポイント💡
- 自分のミス→「申し訳ございません」
- 相手にお願い→「恐れ入りますが〜」
- 感謝→「ありがとうございます」「助かりました」
「メール」「電話」のマナーは要確認
メールや電話もビジネスの重要なツールです。
以下は新人のうちから意識したいポイントです。
📧メールの基本構成
- 宛名:「〇〇株式会社 △△様」
- 挨拶:「お世話になっております」
- 本文(要点を先に)
- 結び:「引き続きよろしくお願いいたします」
📞電話の基本マナー
- 3コール以内に出る
- 自分からかける際は「〇〇株式会社の□□と申します」から
- メモを取りながら聞く
対面とオンラインで態度が変わっていないか?
リモート会議の増加により、「カメラ越しのマナー」も重要視されるようになりました。
例
- 表情がない
- 無言でうなずかない
- 服装がラフすぎる
オンラインでも、対面と同じ心構えが信頼をつくります。
トラブル時のコミュニケーション
まず“誠意”を伝えることが大事
問題が起きたときに最も重要なのは、スピードと誠意です。
謝罪の一言がないと、内容がどうであれ「対応が悪い」と受け止められてしまうこともあります。
×「了解しました。どうすればいいですか?」
〇「このたびはご迷惑をおかけして申し訳ありません。早急に確認し、対応させていただきます」
言い訳より「解決策」を提示する
報告時には、「何が起きたか」よりも「今後どうするか」を伝えることが大切です。
例
「誤って旧データを送ってしまいました。正しい資料を添付し、先方に再送いたしました」
“対応している”という姿勢が、信頼に直結します。
感情を持ち込まず、冷静に伝えるには?
怒りや焦りの感情があると、言葉がきつくなったり、相手の話を正確に聞けなくなることがあります。
おすすめは、深呼吸+一拍置くこと。
また、チャットやメールの場合は、「5分置いてから読み直す」のも冷静さを保つテクニックです。
「話すのが苦手」な人の対策法
話さずとも信頼される“聞く姿勢”
「話すのが苦手だから不利かも…」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、“聞く力”が高い人ほど信頼される職場も多いのです。
「相手の話をうなずいて聞く」「復唱して確認する」だけでも、コミュニケーションは成り立ちます。
短くてOK!“一言コメント”のコツ
「長く話せないから黙ってしまう…」という方には、短い一言を返す練習がおすすめです。
使いやすいフレーズ
- 「そうなんですね!」
- 「それは助かります」
- 「ありがとうございます」
シンプルな言葉でも、“会話に参加している”印象が残ります。
自分から話題をふる3つの方法
どうしても会話が苦手な方は、“質問”を軸にするのがおすすめです。
質問例
- 「最近、忙しいですか?」
- 「おすすめのランチありますか?」
- 「この業務、どう進めてますか?」
“答えを聞く”姿勢から、自然に会話が始まります。
毎日できる!コミュニケーション力UPの習慣
「おはようございます」から始まる関係
あいさつは、最もシンプルで最強のコミュニケーションです。
相手の目を見て「おはようございます」と言うだけで、その日一日の空気が変わります。
特に新人のうちは、自分からあいさつをする意識が、先輩や上司に良い印象を与えます。
「ありがとう」を言葉にするクセを
感謝は“思う”だけでは伝わりません。
「ありがとう」を小さな場面で口にする習慣が、人間関係の質を変えていきます。
チェック💡
- 席を譲ってもらった → 言えた?
- メールを確認してくれた → 一言添えた?
- 教えてもらった → お礼を伝えた?
フィードバックを受ける習慣をつけよう
成長に欠かせないのが、「フィードバックを素直に受け取る姿勢」です。
注意をされても、“責められている”のではなく、“成長のチャンス”だととらえるようにしましょう。
ひと言で印象が変わる魔法の言葉
「ご指摘ありがとうございます。次から気をつけます」
まとめ
コミュニケーション力は、「話し上手」より「気遣い上手」が強いです。
あいさつ・言葉遣い・聞き方・所作、すべてが積み重なって“信頼される人”になります。
そして、今日からできるのは「丁寧に」「相手を思って」行動すること。
それだけで、あなたの印象は確実に良くなります!