社会に出ると、「話す」「聞く」「伝える」など、すべてが仕事の成果に直結します。
しかし、学生時代のような「気心知れた会話」と、ビジネスシーンのコミュニケーションには大きな違いがあります。

本記事では、社会人としての第一歩を踏み出した方に向けて、信頼されるコミュニケーションの基本をわかりやすく解説していきます。

目次
  1. そもそも「ビジネスコミュニケーション」とは?
    1. 学生の会話との違いってなに?
    2. なぜ“伝え方”が評価につながるのか?
    3. 「聞き上手」こそ社会人の必須スキル
  2. 「話す力」よりも「伝える力」
    1. 「えーと」「たぶん」はNGワード?
    2. 結論から話すだけで伝わりやすくなる
    3. 報告・連絡・相談は“簡潔・正確”が命
  3. 「聞く力」が信頼を生む理由
    1. 話を遮らない、うなずき・相槌のコツ
    2. メモを取る=“本気で聞いてます”のサイン
    3. わからないことは「聞き返す」が正解
  4. 雑談・アイスブレイクも大事な力
    1. 「何を話すか」より「どう聞くか」
    2. 相手の話題に乗ると自然に会話が続く
    3. 雑談は“距離を縮める潤滑油”
  5. 言いにくいことの伝え方
    1. 「すみません」より「ありがとうございます」
    2. 「でも」「だって」を避けた表現法
    3. 「断る」「お願いする」も丁寧に伝える
  6. 社内でのコミュニケーションの基本
    1. 先輩・上司との距離感の取り方
    2. 「相談しやすい人」になるには?
    3. チャット・LINEの文面の注意点
  7. 社外でのやりとりで気をつけたいこと
    1. 「敬語の使い方」が信用に直結する
    2. 「メール」「電話」のマナーは要確認
      1. 📧メールの基本構成
      2. 📞電話の基本マナー
    3. 対面とオンラインで態度が変わっていないか?
  8. トラブル時のコミュニケーション
    1. まず“誠意”を伝えることが大事
    2. 言い訳より「解決策」を提示する
    3. 感情を持ち込まず、冷静に伝えるには?
  9. 「話すのが苦手」な人の対策法
    1. 話さずとも信頼される“聞く姿勢”
    2. 短くてOK!“一言コメント”のコツ
    3. 自分から話題をふる3つの方法
  10. 毎日できる!コミュニケーション力UPの習慣
    1. 「おはようございます」から始まる関係
    2. 「ありがとう」を言葉にするクセを
    3. フィードバックを受ける習慣をつけよう
  11. まとめ

そもそも「ビジネスコミュニケーション」とは?

学生の会話との違いってなに?

学生時代のコミュニケーションは、「仲良し」「面白い」が基準になっていた方も多いのではないでしょうか。しかし、ビジネスの世界では、「誤解がない」「業務が円滑に進む」ことが最も重視されます。

たとえば、「多分いけます」「あとでやります」など曖昧な言葉は、社会人としてはNGです。
「〇月〇日までに対応します」など、責任ある言葉を使うことが信頼につながります。

なぜ“伝え方”が評価につながるのか?

職場では「正しく伝える」「丁寧に伝える」ことが、結果以上に評価されるケースもあります。
理由は簡単で、伝え方が悪ければ、いくら良いアイデアでも“信頼”を失ってしまうからです。

特に新人のうちは、「言葉遣い」「タイミング」「表情」の3点を意識するだけで、印象が大きく変わります。

「聞き上手」こそ社会人の必須スキル

話すことに自信がない方もご安心ください。
実は、信頼される人の多くは「聞くのが上手」です。

「相手の目を見て、うなずく」「最後まで聞いてから質問する」「メモをとる」
これらを意識するだけで、「話しやすい」「理解力がある人だな」と感じてもらえます。

「話す力」よりも「伝える力」

「えーと」「たぶん」はNGワード?

「えーっと…」「まあ…多分」などの言葉は、聞き手にとっては自信がない・責任感がない印象を与えてしまいます。
社内では特に、曖昧な言葉を避け、「明確な意思表示」を心がけましょう。


×「多分、大丈夫です」
〇「現在の進捗では問題ありません。明日までに仕上がります」

結論から話すだけで伝わりやすくなる

ビジネスでは「結論ファースト」が基本です。
相手は限られた時間で内容を判断する必要があるため、まず答えを伝え、その後に理由や背景を補足するのが鉄則です。

たとえば上司に報告する際は、
「〇〇の件、完了しました。〇〇に注意して進めました。」
のように、シンプルにまとめましょう。

報告・連絡・相談は“簡潔・正確”が命

いわゆる「報連相(ホウレンソウ)」は、新人にとって最重要のスキルです。
以下のようなポイントを押さえましょう。

報告:ミスも含め、正直に伝える
連絡:進捗や変更点を早めに伝える
相談:主観ではなく、事実ベースで共有する

「隠さない」「遅らせない」「ごまかさない」ことが、信頼につながります。

「聞く力」が信頼を生む理由

話を遮らない、うなずき・相槌のコツ

相手の話をさえぎったり、途中で自分の話に変えたりすると、「話を聞いてない人」と思われてしまいます。

ポイントは3つです。

  1. 最後まで話を聞く
  2. 相手の目を見る
  3. 「なるほど」「たしかにですね」と相槌を打つ

メモを取る=“本気で聞いてます”のサイン

話の最中にペンを動かしているだけで、「ちゃんと聞いている」という印象が生まれます。
特に上司やクライアントとの会話では、重要なキーワードをメモするだけでも好印象です。

メモを取る習慣は、内容の理解・記憶の定着・復習のしやすさにもつながります。

わからないことは「聞き返す」が正解

新人時代は、知らない言葉や業務内容に出会うことが多くあります。
その際、「なんとなくスルーする」のは一番危険です。

「恐れ入ります、こちらはどういう意味でしょうか?」と、勇気を出して聞くことが大切です。
“素直に聞ける人”は成長が早いといわれます。

雑談・アイスブレイクも大事な力

「何を話すか」より「どう聞くか」

職場での雑談は、「仲良くなるため」だけでなく、業務をスムーズにするための潤滑油です。
ただし、話題の内容よりも、相手の話にどんなリアクションをするかの方が重要です。

例えば、「へぇ〜、すごいですね!」といった共感の相槌や、「私も◯◯行ったことあります」と話題を広げる姿勢が、自然な会話につながります。

相手の話題に乗ると自然に会話が続く

コミュニケーションが得意でない方でも、相手の興味に合わせるだけで会話は自然に続きます。

以下は話題が広がりやすい例です!

  • 昨日観たテレビ・ニュースの話
  • 最近食べたおいしいランチの話
  • 天気や季節の話(例:「今日すごく暑いですね」)

ポイントは「自分から話題をふらなくていい」ということ。
相手の言葉に乗るだけで、十分なコミュニケーションになります。

雑談は“距離を縮める潤滑油”

アイスブレイクの力は侮れません。
たとえば、同じ業務でも「この人とは話しやすい」と思ってもらえるだけで、報連相のハードルが下がり、チーム全体の空気もよくなります

雑談力は“スモールトーク”とも呼ばれ、外資系企業では必須スキルとして研修されることもあります。

言いにくいことの伝え方

「すみません」より「ありがとうございます」

つい使ってしまいがちな「すみません」ですが、実はビジネスシーンでは「ありがとうございます」に言い換えた方が印象が良いケースが多くあります。

ちょっとした言葉選びの違いで、ぐっと“感じの良さ”が出てきます。

「でも」「だって」を避けた表現法

言い訳に聞こえるワードには注意が必要です。
とくに「でも」「だって」は、反論や自己弁護の印象を与えてしまいがち。

【NG例】
「でも、私のせいじゃないです」
→ 主張は伝わっても、責任転嫁の印象に…

【OK例】
「ご指摘ありがとうございます。次回はこの点に注意いたします」

ポイントは、一度受け止める→改善案を出すという順序です。

「断る」「お願いする」も丁寧に伝える

新人のうちは「NOと言ってはいけない」と思いがちですが、断り方やお願いの仕方を工夫すれば問題ありません。

たとえば、

  • ❌「無理です」→⭕「恐れ入りますが、現在のスケジュールでは難しい状況です」

  • ❌「やってもらえます?」→⭕「大変恐縮ですが、お手すきの際にお願いできますでしょうか?」

言葉を選ぶことで、角を立てずに伝えることができます。

社内でのコミュニケーションの基本

先輩・上司との距離感の取り方

職場では「フレンドリー=失礼にならない」わけではありません。
信頼関係を築くためには、“ちょうどよい距離感”を保つことが大切です。

  • 自分から過度に馴れ馴れしくしない
  • 呼び方は「〇〇さん」「〇〇課長」など役職付きで
  • 相談時は、「今、お時間よろしいでしょうか?」と一言添える

ビジネスでは、“遠慮”ではなく“配慮”が重要です。

「相談しやすい人」になるには?

新人であっても、後輩が入ってくれば“相談される立場”になります。
その時に大切なのが、「話しやすさ」の印象づけです。

🔷 コミュニケーションが取りやすい人の特徴

  • 話しかけられたときに笑顔
  • 自分の手を止めて相手の目を見る
  • 「うんうん」とうなずきながら聞く

ちょっとした“表情と姿勢”が、周囲との関係性をつくります。

チャット・LINEの文面の注意点

社内でのやりとりがSlackやLINEの場合も、「カジュアル=雑でOK」ではありません。
伝えるべき内容は簡潔に、かつ礼儀を忘れずにまとめましょう。

【例:資料の送付依頼】
×「これ見といて〜」
〇「お疲れ様です。こちら、明日の会議用資料となります。ご確認よろしくお願いいたします」

社外でのやりとりで気をつけたいこと

「敬語の使い方」が信用に直結する

社外の人に対する言葉遣いは、“会社全体の印象”に直結します。
タメ口や略語はNGです。基本の敬語を使いましょう。

すでにご覧いただいた表のように、何気ない一言が信頼を左右します。

ポイント💡

  • 自分のミス→「申し訳ございません」
  • 相手にお願い→「恐れ入りますが〜」
  • 感謝→「ありがとうございます」「助かりました」

「メール」「電話」のマナーは要確認

メールや電話もビジネスの重要なツールです。
以下は新人のうちから意識したいポイントです。

📧メールの基本構成

  1. 宛名:「〇〇株式会社 △△様」
  2. 挨拶:「お世話になっております」
  3. 本文(要点を先に)
  4. 結び:「引き続きよろしくお願いいたします」

📞電話の基本マナー

  • 3コール以内に出る
  • 自分からかける際は「〇〇株式会社の□□と申します」から
  • メモを取りながら聞く

対面とオンラインで態度が変わっていないか?

リモート会議の増加により、「カメラ越しのマナー」も重要視されるようになりました。

  • 表情がない
  • 無言でうなずかない
  • 服装がラフすぎる

オンラインでも、対面と同じ心構えが信頼をつくります。

トラブル時のコミュニケーション

まず“誠意”を伝えることが大事

問題が起きたときに最も重要なのは、スピードと誠意です。
謝罪の一言がないと、内容がどうであれ「対応が悪い」と受け止められてしまうこともあります。

×「了解しました。どうすればいいですか?」
〇「このたびはご迷惑をおかけして申し訳ありません。早急に確認し、対応させていただきます」

言い訳より「解決策」を提示する

報告時には、「何が起きたか」よりも「今後どうするか」を伝えることが大切です。



「誤って旧データを送ってしまいました。正しい資料を添付し、先方に再送いたしました」

“対応している”という姿勢が、信頼に直結します。

感情を持ち込まず、冷静に伝えるには?

怒りや焦りの感情があると、言葉がきつくなったり、相手の話を正確に聞けなくなることがあります。

おすすめは、深呼吸+一拍置くこと。
また、チャットやメールの場合は、「5分置いてから読み直す」のも冷静さを保つテクニックです。

「話すのが苦手」な人の対策法

話さずとも信頼される“聞く姿勢”

「話すのが苦手だから不利かも…」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、“聞く力”が高い人ほど信頼される職場も多いのです。

「相手の話をうなずいて聞く」「復唱して確認する」だけでも、コミュニケーションは成り立ちます。

短くてOK!“一言コメント”のコツ

「長く話せないから黙ってしまう…」という方には、短い一言を返す練習がおすすめです。

使いやすいフレーズ

  • 「そうなんですね!」
  • 「それは助かります」
  • 「ありがとうございます」

シンプルな言葉でも、“会話に参加している”印象が残ります。

自分から話題をふる3つの方法

どうしても会話が苦手な方は、“質問”を軸にするのがおすすめです。

質問例

  • 「最近、忙しいですか?」
  • 「おすすめのランチありますか?」
  • 「この業務、どう進めてますか?」

“答えを聞く”姿勢から、自然に会話が始まります。

毎日できる!コミュニケーション力UPの習慣

「おはようございます」から始まる関係

あいさつは、最もシンプルで最強のコミュニケーションです。
相手の目を見て「おはようございます」と言うだけで、その日一日の空気が変わります。

特に新人のうちは、自分からあいさつをする意識が、先輩や上司に良い印象を与えます。

「ありがとう」を言葉にするクセを

感謝は“思う”だけでは伝わりません。
「ありがとう」を小さな場面で口にする習慣が、人間関係の質を変えていきます。

チェック💡

  • 席を譲ってもらった → 言えた?
  • メールを確認してくれた → 一言添えた?
  • 教えてもらった → お礼を伝えた?

フィードバックを受ける習慣をつけよう

成長に欠かせないのが、「フィードバックを素直に受け取る姿勢」です。
注意をされても、“責められている”のではなく、“成長のチャンス”だととらえるようにしましょう。

ひと言で印象が変わる魔法の言葉
「ご指摘ありがとうございます。次から気をつけます」

まとめ

コミュニケーション力は、「話し上手」より「気遣い上手」が強いです。
あいさつ・言葉遣い・聞き方・所作、すべてが積み重なって“信頼される人”になります。

そして、今日からできるのは「丁寧に」「相手を思って」行動すること。
それだけで、あなたの印象は確実に良くなります!